センター大学 国際文化学科3年 法水美咲 <4号 2023年3~4月>

はじめに

帰国まで100日を切った辺りから、残りの日数を数えるようになりました。最初の頃は、来てからの日数よりも帰国までの残りの日数の方が多かったのですが、いつの間にか残りの日数が下回り、センター大学での生活もあとわずかであるということを実感するようになりました。夏にセンター大学に来て、秋、冬を経験し、もうすぐ春になろうとしています。センター大学で全ての四季を経験できることをとても幸せに思います。春学期の講義も後半になり、学期で最も大変な期末試験を迎えたため、忙しい日々を送っていますが、暖かくなってきたキャンパスでリフレッシュしながら、気持ちを切り替えて頑張ろうと思います。

今回の報告書では、春学期に取っている講義のこと、Final week(期末週間)のこと、そして日常生活についてお伝えしたいと思います。

友達に遭遇した時の様子
↑Drawingのクラスで描く絵の構図を決めていたら、友達に遭遇しました。

春学期(~Final week)

・ARS220 (Interm Drawing: Figure/Landscape)

講義の前半では人物画を描いていましたが、授業の後半からは外に出て、風景を描き始めました。絵を描くための道具を全て外に運ぶのは毎回大変で苦戦していますが、気温も暖かくなってきているため、外でのDrawingは気持ちが良いです。

この講義のFinalはテストではなく、最後に一枚(風景画か人物画)絵を描いて終了です。私は風景を描く方が好きなため、最後は風景を描こうと思っています。キャンパスの中に好きな場所があるので、そこを選ぶ予定です。風景をテーマに絵を描くのは、その日の天候に左右されてしまうことはあるものの、センター大学の風景を思い出として残せる上に、自分がまだ発見していないキャンパスの美しい場所を探すことも出来ます。

私は幼い頃から絵を描くことが好きだったものの、特に美術系の部活に入ったり、美術の授業を取る事は無く、大人になるにつれて絵を描くことが少なくなっていました。しかしこの講義を履修して、留学が終わった後も趣味として絵を描き続けたいな、と感じます。

Old Centre付近の風景
↑Old Centre付近の風景です。木漏れ日を表現するのが楽しかったです。
題材にした風景
法水さんの作品
↑私は遠くから複雑な風景を描く傾向があるため、教授にいつも"Zoom more!"と言われます。
この時は思い切り近づいて描きました。

・ANT252(Intro to Archaeology)

考古学の授業です。一口で言えば、この講義は今学期で最も課題とFinalが大変な講義でした。基本的にこの講義では、膨大な量のリーディング課題に加え、Analysis Assignmentという課題があります。Analysis(分析)という名の通り、表や写真、講義で習った知識を活用して、自分なりに考古学の埋蔵物や建築について分析を行い、短いエッセイを書きます。このAnalysis Assignmentは今学期で5回あり、毎回4~5時間ほど時間がかかっていました。あまり想像がつかないと思うので、例を紹介します。

法水さんの時間割

これは、Analysis4の際に作成したグラフです。メキシコのTehuacán Valleyという場所を取り上げ、この地域の食生活と農業の変化について分析を行いました。横のグラフ(B~H)は、時代の変化を表しており、縦のグラフにはAvocadoやSquash(カボチャ)など、作物の名前が書かれています。表中の比率は、その時代に収集できた種や残骸の割合です。例えば、1番上のMaize(トウモロコシ)は基本的に作物として栽培されるものですが、一方で、上から4番目のWild grassは意図的に植えたものではなく、自然に育っているものを指します。このように人の手によって栽培される作物、そうでない自然の植物に着目し、栽培した作物のそれぞれの割合の変化を比較することにより、いつの時代に農業が盛んになったのか、主流な作物は何であったのか、と分析を行うことが可能です。このような分野は考古学の中でも特に、植物考古学と呼ばれています。埋蔵品や建築物だけでなく、植物の種からでも、昔の人々がどのように暮らしているかを知ることが出来るので、とても興味深いです。

Finalでは、期末試験に加え、グループでの展示とプレゼンテーションがありました。展示では、グループごとに教授に指定された埋蔵品を研究し、図書館の中に展示を行いました。私達のグループは、Clovis pointsと呼ばれる、かつてアメリカ付近の先住民が狩りに使用していたとされる先端が尖った石を研究し、石と一緒に展示する説明や、ディスプレイの配置も自分たちで考えたため、とても大変でした。

留学中、今回が最初で最後のグループプロジェクトで、グループのメンバーに迷惑をかけてしまわないかがとても不安でしたが、他のメンバーの助けのおかげで何とか成功させることが出来ました。この講義は全体的にアクティビティが多く、他の人と作業することが多かったです。比較的少人数で、他の国から来ているのは私だけであったため、他の学生について行けず悔しい思いも何回かしましたが、結果的にとても良い経験になったと思います。そして何より考古学という学問が面白いのと、教授が素晴らしい先生であることが最後まで頑張れた理由だと思います。

展示ブースの様子
↑私たちの展示ブースです。前面にClovis pointsを配置し、背後の壁に説明を載せました。

・REL110 (Biblical History and Ideas)

聖書を勉強する講義です。この講義のFinalでは、レポートと、期末試験がありました。期末試験は全ての範囲が出るため量が多かったですが、定期的に小テストがあり、その度に復習をしていたため、なんとか乗り越えることが出来ました。しかし、宗教で使う単語は難しいものが多いため、覚えるのが困難です。私は小テストの度に先生にアポイントメントを取り、オフィスアワーで質問をしていたので、講義中に聞き取れなくて曖昧であった部分も、先生と一対一でしっかりと説明してもらうことが出来ました。

Finalの1つであるレポートは、前回のレポートと違い、聖書の内容のみに関わらず、より広い視野でテーマを選ぶものでした。私は今回、日本人は聖書をどのように解釈し、読むことが出来るか、という広い観点のトピックにしました。日本史で習った隠れキリシタンの話など、過去に学んだ知識と今回の講義の内容を盛り込み、レポートを完成させました。枚数は多く、試験もあったため大変でしたが、教授に良いアドバイスをもらいながら、無事この講義を終えることが出来ました。この講義の教授は本当に優しく、陽気な先生です。交換留学生ということもあるかもしれませんが、いつも名前を呼んで気にかけてくれます。聖書の用語や内容の解釈で曖昧な際、オフィスアワーに行くといつも丁寧に分かり易く教えてくれます。この講義の内容は難しく、キリスト教の知識やバックグランドが無ければなおさら大変です。しかし、キリスト教がとても生活に根付いているアメリカで学べるということ、そして聖書は宗教の書物としてだけでなく文学の書物としても面白く、勉強になります。もし興味があれば履修をしてみることをお勧めします。

教授からのコメント
↑最初の頃の小テストの点数はかなり低かったですが、後半では満点ではないものの、徐々に高い点数をとることが出来ました。教授からも "Nice!" と称賛を頂き、嬉しかったです。

・ENG170(Topics in Writing)

この講義では、英語でのレポートの基礎的な書き方から、読み手を納得させる主張の展開などを学んでいます。レポートに関しての授業ということもあり、Finalでは最終レポートと期末試験がありました。

この講義は前回もお話しした通り、過去にも県立大学から来た学生を授業で受け持っておられます。そのため最終レポートの量を少し減らしていただくことが出来ました。もちろん指定された枚数を書くことが1番ですが、レポートに使用する学術的な資料を探し、その論文を全て読み、そしてそれが自分の主張をサポートできるか否かというのを見極めることは、とても時間がかかります。そのため、もし沢山の課題に苦戦している時があれば、教授に相談をしてみてもいいと思います。

期末試験はそこまで難しくなく、また試験前にオフィスアワーで曖昧な部分を質問したため、試験に関してはそこまで苦労しませんでした。この講義は、レポートは大変なものの、全体的に課題や授業内容は他の講義に比べると優しいため、履修することをお勧めします。

日常/友人について

センター大学には、ISAというコミュニティがあり、アメリカ以外から来た留学生のサポートや、国際交流に関するイベント企画を行っています。このグループは留学生全体が対象ですが、他にもベトナムや中国の学生だけのコミュニティがあり、それぞれの国に関するイベントを企画しています。センター大学にはベトナム、ミャンマー、インド、ジョージア、ルーマニアなど、いろいろな国から来ている学生がいます。この国の多様さは、アメリカならではだと思います。

↑様々な国の曲を流し、ダンスを踊る"Intercultural ball"というイベントがありました。

私は交換留学生のため約1年の滞在で、こちらで出来た友人と気軽には会えなくなってしまいますが、それでも未だに新しく友人になってくれたり、もっと仲を深めようとしてくれる人たちがいて、そのことが私にとって本当に嬉しいです。10か月も滞在していると、目に映るもの全てが新鮮に思えていた最初の数か月と違い、良い意味でも悪い意味でも今の生活が「日常」になりました。それでも長い目で見るとこの留学生活は本当に貴重なものだと思うので、この日常を楽しみつつ、積極的に人と交流することを忘れないようにしたいと思います。

そして最近特に、人との縁の大切さを感じます。これからの人生でアメリカを旅行などで訪れることはあると思います。しかし21歳の今の自分で、アメリカの大学で授業を受け、友人と学生生活を送っているということは、もう二度と経験できないことだと思います。友人だけに限らず、関わったクラスメイト、先生など、タイミングが違えば同じ大学でも会えていない人たちだと思います。「人との縁」という言葉はよく聞きますが、ありふれすぎていて、今までピンと来ませんでした。しかしこうして今まで住んでいた場所と離れた場所で生活しているからか、人との縁を強く感じますし、一つ一つの人との出会いを、より大切にしようと思えます。

Mammoth Caveという洞窟
↑友人に、ケンタッキー州のMammoth Caveという洞窟に連れて行ってもらいました。
コンテンポラリーダンスのイベント
↑友人とグループを組み、コンテンポラリーダンスのイベントに出演しました。